2020.12.24 相続について
古い相続登記手続き(家督相続)
こんにちは。
京田辺市の司法書士の小川英寿です。
今日は相続登記手続きの中で、今でもたまに登場する古い相続手続きについて簡単にまとめました。
【前提】
相続のときに適用される法律はその人の亡くなった時期によって下記のように違ってきます。
(1)亡くなった時期が明治31年7月16~昭和22年5月2日なら旧民法
(2)亡くなった時期が昭和22年5月3日~昭和22年12月31日なら応急措置法
(3)亡くなった時期が昭和23年1月1日~現在なら現民法
【家督相続が適用されるときは?】
家督相続が関係してくるのは上記の(1)です。
古い除籍謄本などを見てみると、例えば昭和11年12月24日にAさんが家督相続したような
記載があります。
このような記載があれば、相続登記手続きの際もあまり難しくなくて、問題も生じず、
むしろ現在の相続登記手続きよりもシンプルな考え方となってます。
戸主(一家の長)がなくなり、長男が家督相続すると除籍謄本に書かれていれば、他の兄弟のハンコなども
要らずに、その長男の名義に相続登記ができます。
【こんなときが手続きが難しくなります!】
問題は、除籍謄本に戸主が亡くなった旨の記載があるものの、誰が家督相続したかが記載されていない場合です。
このパターンはちょっと、ややこしい手続きになります。
こんなときは旧民法第970条によると、下記の順位で相続します。
第1順位 第一種法定家督相続人
第2順位 指定家督相続人
第3順位 第一種選定家督相続人
第4順位 第二種法定家督相続人
第5順位 第二種選定家督相続人
【順番に見ていきましょう!】
【1】第一順位(第一種法定家督相続人)
これは直系卑属です。(直系卑属とは、子とか孫とかひ孫とかタテの家系の下方向の人たちです)
直系卑属が何人かいる場合は次の規定に従います。
1.親等が異なる間では近い人(子と孫がいれば子が優先)
2.親等が同じ者の間では男子が優先
3.親等の同じ男子又は女子の間では嫡出子が優先(嫡出子とは結婚によってできた夫婦の子のことです)
4.親等の同じ者の間にあっては、女子であっても嫡出子、庶子が優先します
5.前の1~4に掲げた事項について同じ順位の者がいるときは年長者が優先します
難しい規定ですね。
まず、言葉の説明ですが、当時は非嫡出子には2種類ありました。
一つは認知された子で「庶子」といいました。
もう一つは認知されていない子で「私生子」と言いましたが、現在は使われない言葉です。
現在の民法では「嫡出でない子」と言います。
上記の5の規定があることによって、男子の子が何人かいる場合は、長男が家督相続人になります。
【2】第二順位(指定家督相続人)
これは、第一順位の相続人がいない場合に、被相続人が家督相続人を指定することができて、
その指定された人が家督相続人になります。この指定は生前にされるか、遺言でされますが、
戸籍上の届出により効力が生じます。
【3】第三順位(第一種選定家督相続人)
上記【1】【2】によっても相続人となる人がいない場合は、被相続人の父(父がいないときは母、
父母ともいないときは親族会(親族会は裁判所によって招集される合議機関です))が下記の順番に
従って家督相続人を選定します。
第1 配偶者(但し家女であるとき) 「家女」とはその家で生まれた女子のことです。
第2 兄弟
第3 姉妹
第4 第一号に該当しない配偶者
これらは選定行為が必要となるので、被選定者の対象者が一人しかいなくても、選定行為がなければ、
その人が自動的に家督相続人になることはありません。
選定には特別の方式はなく、戸籍の届出も必要とされていません。
【4】第四順位(第二種法定家督相続人)
これは、【1】【2】によっても相続人となる人がおらず、【3】の候補者になりえる者もいない場合です。
この場合は直系尊属が相続人となり、親等の近い順に優先し、親等が同じときは男子優先です。
法定相続なので、家督相続届出の有無にかかわらず、相続による所有権移転登記ができます。
【5】第五順位(第二種選定家督相続人)
これは上記【1】~【4】では家督相続人がいない場合です。
家の維持のために親族会によって、他人からでも選定できる超ウルトラCです。
以上簡単に説明しましたが、
次回は古い相続にもかかわらず、現行の民法が適用される場合があるという記事を書きたいと
思います。
京田辺の司法書士小川英寿でした。
メリークリスマス!
京田辺市の司法書士の小川英寿です。
今日は相続登記手続きの中で、今でもたまに登場する古い相続手続きについて簡単にまとめました。
【前提】
相続のときに適用される法律はその人の亡くなった時期によって下記のように違ってきます。
(1)亡くなった時期が明治31年7月16~昭和22年5月2日なら旧民法
(2)亡くなった時期が昭和22年5月3日~昭和22年12月31日なら応急措置法
(3)亡くなった時期が昭和23年1月1日~現在なら現民法
【家督相続が適用されるときは?】
家督相続が関係してくるのは上記の(1)です。
古い除籍謄本などを見てみると、例えば昭和11年12月24日にAさんが家督相続したような
記載があります。
このような記載があれば、相続登記手続きの際もあまり難しくなくて、問題も生じず、
むしろ現在の相続登記手続きよりもシンプルな考え方となってます。
戸主(一家の長)がなくなり、長男が家督相続すると除籍謄本に書かれていれば、他の兄弟のハンコなども
要らずに、その長男の名義に相続登記ができます。
【こんなときが手続きが難しくなります!】
問題は、除籍謄本に戸主が亡くなった旨の記載があるものの、誰が家督相続したかが記載されていない場合です。
このパターンはちょっと、ややこしい手続きになります。
こんなときは旧民法第970条によると、下記の順位で相続します。
第1順位 第一種法定家督相続人
第2順位 指定家督相続人
第3順位 第一種選定家督相続人
第4順位 第二種法定家督相続人
第5順位 第二種選定家督相続人
【順番に見ていきましょう!】
【1】第一順位(第一種法定家督相続人)
これは直系卑属です。(直系卑属とは、子とか孫とかひ孫とかタテの家系の下方向の人たちです)
直系卑属が何人かいる場合は次の規定に従います。
1.親等が異なる間では近い人(子と孫がいれば子が優先)
2.親等が同じ者の間では男子が優先
3.親等の同じ男子又は女子の間では嫡出子が優先(嫡出子とは結婚によってできた夫婦の子のことです)
4.親等の同じ者の間にあっては、女子であっても嫡出子、庶子が優先します
5.前の1~4に掲げた事項について同じ順位の者がいるときは年長者が優先します
難しい規定ですね。
まず、言葉の説明ですが、当時は非嫡出子には2種類ありました。
一つは認知された子で「庶子」といいました。
もう一つは認知されていない子で「私生子」と言いましたが、現在は使われない言葉です。
現在の民法では「嫡出でない子」と言います。
上記の5の規定があることによって、男子の子が何人かいる場合は、長男が家督相続人になります。
【2】第二順位(指定家督相続人)
これは、第一順位の相続人がいない場合に、被相続人が家督相続人を指定することができて、
その指定された人が家督相続人になります。この指定は生前にされるか、遺言でされますが、
戸籍上の届出により効力が生じます。
【3】第三順位(第一種選定家督相続人)
上記【1】【2】によっても相続人となる人がいない場合は、被相続人の父(父がいないときは母、
父母ともいないときは親族会(親族会は裁判所によって招集される合議機関です))が下記の順番に
従って家督相続人を選定します。
第1 配偶者(但し家女であるとき) 「家女」とはその家で生まれた女子のことです。
第2 兄弟
第3 姉妹
第4 第一号に該当しない配偶者
これらは選定行為が必要となるので、被選定者の対象者が一人しかいなくても、選定行為がなければ、
その人が自動的に家督相続人になることはありません。
選定には特別の方式はなく、戸籍の届出も必要とされていません。
【4】第四順位(第二種法定家督相続人)
これは、【1】【2】によっても相続人となる人がおらず、【3】の候補者になりえる者もいない場合です。
この場合は直系尊属が相続人となり、親等の近い順に優先し、親等が同じときは男子優先です。
法定相続なので、家督相続届出の有無にかかわらず、相続による所有権移転登記ができます。
【5】第五順位(第二種選定家督相続人)
これは上記【1】~【4】では家督相続人がいない場合です。
家の維持のために親族会によって、他人からでも選定できる超ウルトラCです。
以上簡単に説明しましたが、
次回は古い相続にもかかわらず、現行の民法が適用される場合があるという記事を書きたいと
思います。
京田辺の司法書士小川英寿でした。
メリークリスマス!